Onyva!～さぁ行こう!～

彼女の休日はカラスのけたたましい鳴き声によって始まる。

いつも同じボリュームで｢ガアｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱ｣と叫ぶので

『コイツの前世はニワトリだったんだろうな』と毎回思っている。

【面倒くさい】という感情を抱かないうちにパジャマを着替えてジャージ姿へメタモルフォーゼ。

彼女の口癖は『面倒くさい』と『疲れた』と『転職したい』である。

休日の朝一にやろうと誓っていること、ジムへ行ってトレーニングをすること。

仕事のある日は５時起きで準備してすぐ出勤なので朝行くことができない。

…かといって仕事終わりにジムへ行くなんて以ての外、

彼女の十八番、『疲れるし面倒くさい』である。

そのため休日こそ唯一、このだらしない人間が自分の肉体と向き合うことのできる

貴重な日なのだ。

無心でジムへ行き、トレーニングマシンへ腰を下ろし休憩。

いきなり体を動かすのは危ないので、まずは一休み。

しょうがない、やるか!と渋々筋トレを開始する。

始まりさえ乗り越えてしまえばあとは徐々にテンションが上がって体が勝手に動くようになる。

脚・腹筋・背筋等を満遍なく動かし、柔軟体操をして終了。

柔軟体操も休日しか行わないので彼女の柔軟性は毎回リセットされている。

帰宅後の過ごし方は毎回変化している。

彼女は気まぐれに語学を勉強しようというモチベーションになるときがある。

ちなみに今日がその日だったらしく英語とフランス語の本を引っ張りだして勉強していた。

３０分集中したかと思えば飽きたのか部屋の掃除を始めた。

普段も仕事で掃除をしているのに家でも掃除をするとは…

彼女は掃除に取り付かれているようだ。

気まぐれに勉強と掃除が終わった今、何をしているかというと

ソファにうずくまりながらどうしたら明日出勤しなくてよくなるだろうかと

本気で考えている。

そう、彼女の口癖の一つ『転職したい』である。